企業年金の現場から H24.02

いよいよ始まった確定拠出年金(DC)のマッチング拠出

 

 年金確保支援法の成立により、永年待ち望まれていた、企業型確定拠出年金(DC)の「従業員の上乗せ拠出(いわゆるマッチング拠出)」が、本年1月から可能になりました。1月15日付の日本経済新聞によると、野村証券など60社超の企業が導入することが明らかになっています。では、なぜマッチング拠出が、それほど待ち望まれていたのでしょうか?

 それは、税制面での優遇を受けられるため、個人で金融商品に投資するのに比べ、はるかに有利であるからです。

 

① 掛金の拠出時に所得控除を受けられる

 掛金は、「小規模企業共済等掛金控除」として、全額所得控除を受けられます。ただし、他の企業年金制度の無い企業でも、拠出限度額は5万1000円で、さらに、従業員の掛け金は、事業主の掛け金額を超えることが出来ないので、マッチング拠出できるのは、最大で2万5500円までとなります。

 

  東京都に住む、年収300万円の従業員が、上限ぎりぎりの、毎月2万5000円(年間30万円)を頑張ってマッチング拠出したと考えてみましょう。所得税・住民税を合わせて、4万5000円もの節税効果を、享受することができます。

 

② 運用益に課税されない

 個人で運用した場合、利息や運用益に対し、所得税・住民税を合わせて、20%が課税されます。(平成25年12月31日までは、10%の軽減税率が適用されている)しかし、確定拠出年金の運用益には、課税されません。上記の例のように、毎年30万円のマッチング拠出を続けて、2%で運用した場合、40年間で1830万円の資産を形成する事が出来ます。個人で運用した場合と比べ、約154万円もの節税効果があることになるのです。

 

③ 受け取る時にも税制の優遇がある

 年金で受け取る場合には「公的年金等控除」、一時金で受け取る場合には「退職所得控除」が適用されます。

 

 ちなみに、40年間企業に勤務した場合の、退職所得控除は2200万円となります。確定拠出年金を導入済の企業では、マッチング拠出により、従業員のさらに手厚い老後資金の確保に役立ちますし、従業員の退職金制度に対する関心も高まるものと考えられます。

 また、毎月の多額の掛け金は負担になるとして、これまで確定拠出年金の導入を見送っていた企業にとっては、従業員とともに拠出するので、より導入がし易くなりました。

 事業主、従業員ともにメリットの大きいマッチング拠出。これを導入しない手はありません。 

 

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