企業年金の現場から R5.7

「運営管理機関の評価を適切に行っていますか?」

確定拠出年金法等の一部を改正する法律により、企業型確定拠出年金を実施する事業主は、少なくとも5年ごとに運営管理機関が実施している運営管理業務について評価を行い、必要に応じて委託内容の変更や運営管理機関の変更などを行うよう努める必要があります。

しかしながら、現時点でそうした評価をしている事業主は全体の4割程度にしか過ぎないようです。

 

企業年金センター行った運営管理機関の評価では、運営管理機関のグループ会社の運用商品で、なおかつコストの高いものを加入者は選択せざるを得ないケースがほとんどの事業主の制度で見られました。こういったケースを改善することができ、DC制度がより良いものとなることができました。逆に言うと、運営管理機関の評価を適切に行っていない事業主の努力不足が、加入者の機会損失をもたらしていることになります。

現在国会で審議中の「金融商品取引法等の一部を改正する法律」では、企業年金の実施者に対し、加入者の最善の利益を勘案しつつ、誠実かつ公正に業務を遂行する義務が新設されることが検討されています。ここで注目すべきは、「確定拠出年金法」の改正ではなく、「金融商品取引法」の改正で、確定拠出年金の事業主に対して義務が課せられるということです。

今まで運営管理機関の評価を行っていない事業主はもちろん、簡易的に評価を行った事業主も適切な評価をすることが求められます。

運営管理機関の評価にあたっては運営管理業務のみならず、運用商品の評価ができる専門的知識を有する中立的なコンサルタントに委託することにより、運営管理業務の改善につながり、確定拠出型年金制度の充実にもなります。

 

文責:加藤 啓之

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