確定拠出年金制度

Q1.日本版401Kとはどのような制度ですか(20186)

A1.アメリカでは、内国歳入法401()項による確定拠出年金が普及しています。我が国の確定拠出年金は、これを参考に制度が創設されたため、確定拠出年金のことを日本版401Kと呼ぶことがあります。

 

Q2.マッチング拠出(従業員拠出)について教えてください(20186)

A2.会社掛金にあわせて、従業員が掛金を拠出できる制度です。マッチング拠出を開始するためには、実施方法等を規約に定める必要があります。拠出するかどうかは従業員の任意で、強制的に拠出させることはできません。

 なお、マッチング拠出を実施している会社の従業員は個人型確定拠出年金(iDeCo)へは加入できません。

拠出した掛金は全額所得控除の対象となり、運用益は非課税、一時金で受け取れば退職所得控除、年金で受け取れば公的年金等控除の対象となりますので、非常に有利な老後資金の積立手段となります。但し、従業員の拠出額には制限がありますので、注意が必要です。

 

Q3.マッチング拠出(従業員拠出)はいくらまで拠出可能ですか(20186)

 A3.従業員の拠出額は事業主の拠出額を超えることはできず、かつ、従業員と事業主の拠出額の合計額は拠出限度額(55,000円、他の企業年金がある場合は27,500)を超えることはできません。なお、マッチング拠出を実施している場合は、個人型確定拠出年金(iDeCo)には加入できません。

 

Q4.定年までの期間が短い従業員は、加入対象外とすることは出来ますか(2018年7月)

A4.企業型確定拠出年金の加入期間が10年に満たな場合は、受給可能年齢が最長65歳まで繰り下げられます。

   そこで、50歳以上の従業員は加入対象外とし、旧制度(たとえば退職一時金)での給付を保証する事が認められています。(50歳未満に設定することは出来ません)
本人の希望により加入を選択出来るようにし、代替給付(たとえば前払退職金)を設ける事も可能です。

 

Q5.外国籍の従業員も加入出来ますか(2018年7月)

A5.60歳未満の厚生年金保険の被保険者は全て加入対象者となります。
ただし、帰国する場合は、資産額が15,000円未満等の複数の条件を満たしていなければ、脱退一時金を受け取る事は出来ません。

   資産を個人型DC(iDeCo)に移換し、掛金は拠出せずに運用のみを行う運用指図者となり、60歳以降に老齢給付を受ける事になります。

  法令により、加入対象者を定める加入ルールを定める事が出来ます。
    1 一定の職種
    2 一定の年齢
    3 一定の勤続期間
    4 希望者(加入の選択)
これらを組み合わせた制度設計により、対応する事も考えられますが、外国籍を理由に加入対象者から外すことは、不当に差別的な扱いとなるので出来ません。
 

Q6.従業員が海外に赴任した場合はどうなりますか(2018年7月)

A6.海外に赴任した場合、その国の社会保障制度に加入すると、二重に負担する事になるので、社会保障協定を結んだ国とは、海外での勤務が5年
以内であれば、相手国の社会保障制度に加入しなくても良いことになっています。

  2018年5月25日時点ではドイツ、英国、アメリカ、フランス等17カ国とは発行済、イタリア、中国等4カ国とは署名済となっています。
 ただし、海外勤務が5年を超えると日本の社会保障制度から外れる事になるので(厚生年金保険の被保険者でなくなる)資産を個人型DC
(iDeCo)に移換し、掛金は拠出せずに運用のみを行う運用指図者になります。

 

Q7.運用商品の除外とはどういう意味ですか(2018年9月)

A7.今年5月1日に施行された法改正により、商品の数の上限が35本に決められました。

    したがって、商品数が36本以上ある規約では5年以内に「除外」することが迫られています。

    猶予期間が5年ありますので直ちにということではありませんが、こうした商品「除外」が今後運営管理機関から発表されうることは、

    あらかじめ認識しておいたほうがいいでしょう。

 

Q8.指定運用方法とはどういう方法ですか(2018年9月)

A8.指定運用方法とは、掛金の配分指定(運用指図)がなされていない場合に、一定期間経過すると加入者が商品選択したものとして、自動的に購入
 される「運用商品」のことです。
 この指定運用方法を規約に定めるか否かは任意ですので、運営管理機関からのお知らせ等で確認することを勧めます。
 なお、指定運用方法から他の運用商品への変更はいつでも可能です。

 

Q9.運用商品の選択にあたって運営管理機関の方に相談できますか(2018年9月)

A9加入者に対し、確定拠出年金の一部の運用商品を推奨(もしくは非推奨)することは法令上禁止されています。

  たとえば企業年金相談センターに継続投資教育を委託された場合、運用商品に関する専門的な知識をもとに、

  運用商品に関する運用目標や過去の運用実績等、加入者が商品を選択する際に実践的かつ有効な情報をご提供しております。

 

Q10.投資教育がなぜ必要なのかポイントを簡単に説明して下さい

A10.確定拠出年金が導入されると、従業員は自ら運用方針を決定し、運用商品を購入しなければなりません。その運用結果について従業員自身が責任を負うことになるため、運用知識の向上や運用商品の選択に役立つように、投資教育及び継続投資教育が事業主の努力義務となっています。

 

Q11.企業型確定拠出年金を導入する場合、従業員全員を加入させなければなりませんか(2019年1月)

A11.企業型確定拠出年金を導入する場合、原則として、厚生年金の被保険者全員が加入対象者となります。正社員と雇用形態が異なる役員や嘱託社員、契約社員等は加入対象者から除外できます。
  また、規約に定めることにより、加入者となることについて以下のような一定の資格を定めることができます。
  1.一定の職種
    「研究職」「営業職」など就業規則等に個別の労働条件が定められている場合は、加入対象者としないことができます。
  2.一定の勤続期間
    一定の勤続期間以上(または未満)の従業員のみを加入者とすることができます。
  3.一定の年齢
    企業型確定拠出年金を実施するときに、一定の年齢未満の従業員のみを加入者とすることができます(合理的理由がある場合に限ります)。
  4.希望する者
    従業員のうち、希望した者のみを加入者とすることができます。
  但し、いずれの場合も、加入者とならなかった従業員に対して代替措置が必要となります。

Q12.選択制確定拠出年金とはどのような仕組みですか(2019年1月)

A12.給与の一部をライフプラン手当等の手当てに振り替え、その手当の一部または全部を、従業員の選択により、企業型確定拠出年金(DC)の掛金に充当する仕組みです。従前の支給額と同額を受け取りたい従業員等は、ライフプラン手当全額を給与として受け取ることが可能です。
  選択制DCを導入することにより、企業には
  ・企業の追加負担なしで、新しい退職金制度が導入できる
  ・現金給与が減少するので、社会保険料の負担が減少する
 というメリットがありますが、DCの運営費用の負担が発生します。
  一方、従業員にとっては
  ・運用益に所得税や住民税がかからないので、効率的に老後資金が準備できる
  ・給与を掛金に振り替えた分、所得税・住民税が軽減でき、通常、社会保険料も軽減できる
  ・年金で受け取れば公的年金等控除が、一時金で受け取れば退職所得控除が受けられる
 といったメリットがありますが、将来受け取る厚生年金が減少する可能性があるほか失業保険の受給額が減少するなどのデメリットもありますが、通常はメリットの方が上回ります。また、時間外手当が減少しないように、社内規程の改正が必要となります。

 

Q13.企業型確定拠出年金が導入されている事業所で加入できる人は厚生年金適用事業所に使用される60歳未満の第1号厚生年金被保険者

   (民間企業の役職員)と第4号厚生年金被保険者(私立学校の教職員)とされています。

    それではどのような場合に厚生年金保険の被保険者となるのでしょうか。(2019年3月)

A13.厚生年金保険の適用事業所となるのは、株式会社などの法人の事業所(代表者1名のみの場合も含みます。)です。
     また、従業員が常時5人以上いる個人の事業所についても、農林漁業、サービス業などの場合を除いて厚生年金保険の適用事業所となります。
     厚生年金保険の被保険者となるのは、厚生年金保険の適用事業所に常時使用される70歳未満の役職員です。国籍や性別、

     年金の受給の有無にかかわらず、厚生年金保険の被保険者となります。

     パートタイマー・アルバイト等でも1週間の所定労働時間および1か月の所定労働日数が、同じ事業所で同様の業務に従事している一般社員の4分の3       以上である人は被保険者とされます。

     通常の労働者の所定労働時間が週40時間の会社(500人以下)で、毎日3時間勤務するパートタイマーは通常の労働者と同じ週5日勤務でも適用には       ならないということです。

     尚、2016年10月の法改正により、501人以上の規模の会社では、一般社員の所定労働時間および所定労働日数の4分の3未満であっても、

     下記の5要件を全て満たすものは、被保険者になることになりました。
     ・週の所定労働時間が20時間以上あること
     ・雇用期間が1年以上見込まれること
     ・賃金の月額が8.8万円以上であること
     ・学生でないこと
     ・常時501人以上の企業(特定適用事業所)に勤めていること
 
     また、2017年10月の法改正で前述の5つの要件を満たす短時間労働者等への適用について、

     500人以下の企業においても労使が合意すれば適用拡大をすることもできるようになっています。

 

Q14.中小企業の企業年金の普及のために新たに設けられた制度の実施状況を説明して下さい。(2019年4月)

A14. 2018 年 5 月より、企業年金のない中小企業向けに下記2つの新しい制度が、施行されました。
①個人型確定拠出年金(iDeCo)への中小事業主掛金納付制度これは年金を実施していない従業員数 100 人以下の事業主が、iDeCo に加入している従業員に対して掛金を上乗せ拠出する制度です。
しかしながら、2018 年 12 月時点での実施事業主数は 160 件、加入者数(申請時の加入予定者数)は 1,077 人となっており、まったく利用されていない状況となっています。
②簡易型DC
これは年金を実施していない従業員数 100 人以下の事業主の制度導入の事務負荷を軽減した制度です。
しかしながら、この簡易型DC制度をビジネスとして取り上げている運営管理機関は1社ある他は不明であり、開店休業状態となっています。

Q15.確定拠出年金の今後の制度改正の方向を説明して下さい。(2019年4月)

A15.厚生労働省の社会保障審議会企業年金・個人年金部会が本年2月より開催されています。その会で関係団体から要望された中から、注目される2点ご紹介します。
①個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入可能年齢の引き上げ
現在、iDeCoの加入可能年齢は60歳となっています。民間の個人年金保険の60歳以上の契約率約23%であるのに対して、著しく利便性を欠くという理由からの要望です。
今後、国民年金や厚生年金の加入年齢の引き上げも検討されていることから、65歳程度まで引き上げられることが考えられます。
②掛金の上限額の引き上げ
現在、加入者区分によって月額14,000円から68,000円までとされている掛金の上限額を引き上げるとのことです。こちらは、平成28年6月の大改正の時から取り残された案件であることから、複数の関係団体から要望されてい
るものです。
しかしながら、掛金上限引き上げには加入者の所得税と住民税の節税効果がある反面、税収の減少につながるために厚生労働省だけでは決定できません。
そのため、引き上げがあったとしても数千円程度にしかならないと考えられます。

 

Q16.確定拠出年金(企業型)の想定利回りは何パーセントが多いですか?(2019年5月)
A16.2019年2月に発表された企業年金連合会の「確定拠出年金の実態調査結果」(概要、2017年度決算)によると、DC導入企業の制度導入時の想定利回り平均は2.00%(前回1.98%)となっています(n=430)。一番多いのは1.5%超2.0%以下が39.5%、次は2.0%超2.5%以下が27.9%、合計67.4%と約3分の2が1.5%超2.5%以下に設定しています。1.5%以下に設定しているのが24.7%、2.5%超に設定している企業が7.8%です。
 参考までに運用利回りの実績を見てみましょう。同調査の2017年度運用利回り平均値は3.1%、2.0%超3.0%以下の運用実績が24.9%、3.0%超の運用実績が47.3%、2.0%以下の運用実績が28.0%です。加入者の通算運用利回り(年率)の平均は2.8%でした。

 

Q17.事業主は確定拠出年金(DC)の運営管理機関の評価をする必要があると聞きましたが、その内容を教えてください。(2019年6月)
A17.改正DC法(2016年6月3日公布)により、事業主は少なくとも5年ごと に運営管理機関の評価を実施することが義務付けられ、2018年5月1日に
 施行されました。
  改正DC法第7条第4項には「運営管理業務の実施に関する評価を行い運営管理業務の委託について検討を加え、必要があると認めるときは、DC
 運営管理機関の変更その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならない」とされています。
  5年ごととは、2018年5月1日時点ですでにDCを実施している場合は「2018年5月1日」を基準とし、2018年5月2日以降に新設する場合は「DC
 制度開始日」を基準とします。
  しかし、DC制度導入時点で評価した運営管理機関の体制や運用商品が現時点では必ずしも望ましいものではない可能性もありますので、既にDC
 導入から5年以上たっている場合は、できるだけすみやかに評価・見直しをすることが望まれます。

Q18.確定拠出年金(DC)の運営管理機関の評価の方法を教えてください。(2019年6月)
A18.企業規模や加入者等の構成、制度導入からの定着度、投資教育の充実度等により異なりますが、少なくとも以下の5項目の評価を行い、その評価の内容を加入者等に対して開示することが望ましい。
 1.運用商品に関する事項
   事業主は運用関連業務が加入者利益の観点から適切に実施されているか、下記項目を確認する必要がある。
   ・運用商品が特定の金融グループに偏っている場合、加入者利益を考慮していると言えるか
   ・運用商品が他の同種の商品より劣っている場合、加入者利益を考慮していると言えるか
    ※最近の投資信託は、信託報酬(加入者が支払う費用)が低廉なものがありますので、信託報酬が割高となっていないか十分検討することが
     重要です。
   ・運用商品の手数料の開示が不十分な場合、その理由は何か
   ・運営管理機関が商品追加・除外を拒否する場合、加入者利益を考慮し
    ていると言えるか
 2.運営管理機関による運用の方法のモニタリングの内容とその報告の有無
   モニタリングの内容には商品や運用会社の評価基準を含む。
 3.加入者等への情報提供がわかりやすく行われているか
   コールセンターや加入者ウェブの運用状況の評価
 4.運営管理業務の運営体制や運営管理機関の信用及び財産の状況等
 5.運営管理業務に付随して提供を受けているサービス
   例えば、投資教育を委託している場合の投資教育の内容や方法等
 また、加入者等の利益には直接関係しないが、運営管理費用や資産管理費用が割高になっている場合がありますので、これらの費用についても他の運営管理機関と比較するなどして、評価することが必要です。特にDC導入から年数が経過している場合は、大幅な引き下げにつながるケースがありますので、一度比較検討することをお勧めします。

 

Q19. 「iDeCo加入 全会社員に」という報道を目にしましたが、内容を説明して下さい。(2019年9月)
A19. 企業型DCの加入者であっても、拠出上限(他の企業年金がない場合5.5万円)を超えない範囲であれば、会社員は誰でもiDeCoに加入できるようにするということです。
社会保障審議会の議論を踏まえ、2020年度の税制改正要望に盛り込み、来年の通常国会に改正法案提出を目指すもようです。

Q20. 「iDeCo加入 全会社員に」が実現したときのメリットを説明して下さい。(2019年9月)
A20.厚生労働省は公的年金だけでは老後の生活が成り立たないことから、企業年金の普及に努めていますが、ビジネスマインドがないために空回りばかりしています。(A14参照)
「iDeCo加入全会社員に」も下記2点の理由から、法制度はできても実際に利用されることはしばらくないと思われます。
①個人別の掛金上限額を管理する者がいません。
企業型DCとiDeCoの掛金合計額が法定の範囲内であるためには、誰かが管理しなくてはなりません。iDeCoの掛金管理をしている国民年金基金連合会には、企業型DC加入者の掛金額の情報はないし、逆もしかりです。
はたして、新たにシステム構築する金融機関があらわれるとは思えません。したがって、「iDeCo加入全会社員に」は難しいと思われます。

追記:2022年10月から、レコードキーパーが企業型DCの加入者がWebサイト等でiDeCoの拠出可能額を把握することになりました。(すなわち、企業型DC加入者のiDeCoへの加入が容易になります)。

②企業型DCにおいて実施されているマッチング拠出との整合性がない。
マッチング拠出とは、企業型DC口座に加入者が任意で掛金を追加できる制度で、約30%がすでに採用し普及している制度です。
マッチング拠出を導入する規約では加入者はiDeCoには現状では加入できません。
したがって、「iDeCo加入全会社員に」とは矛盾した制度ですので、採用済み企業にとってはとても整合性を持てないはずです。

 

Q21. 弊社は従業員90人の中小企業ですが、最近社員からiDeCoに加入したいという希望が増えています。会社の事務負担は大きいですか?すすめて良いものでしょうか?(2019年10月)

21. 60歳未満の厚生年金の被保険者で個人型確定拠出年金加入者を「第2号加入者」と言い、「第2号加入者」の従業員がiDeCoに加入する場合に事業主は下記の事務手続きをする必要があります。
1.事業主証明書の発行~新規加入者がある場合や転職時に発行しなければなりません。証明する内容は3項目です(様式が決められています)。
①加入者が60歳未満の厚生年金保険の被保険者であること
②企業型確定拠出年金制度の有無
③企業年金等(厚生年金基金、確定給付企業年金等)の対象者かどうか
2.年1回の現況届(第2号加入者の届出書)~申込者の加入資格と限度額の確認のためです。
書類名:「第2号加入者の届出書(事業主取りまとめ)兼第2号加入者に係る事業主の証明書」
※提出されない場合は当該加入者の掛金引落しが停止されることがありますので、要注意です。
3.事業主にかかわる変更があった場合の届出(住所または事業所名の変更等)
4.掛金の納付(事業主払込)(毎月)
事業主の口座から口座振替によりiDeCoの資産管理機関である国民年金基金連合会に納付します。個人払込もありますが、従業員から給与引落し・納付を要望された場合はこれを実施しなければなりません。
5.源泉徴収 
事業主払込の場合、DC掛金は全額所得控除になりますので、給与からDC掛金額を控除して源泉徴収額を計算しなければなりません。年末調整も同様です。

以上の通り事務負担は意外に大きいので、企業型DC制度の導入をお勧めします。企業型DC制度とはいえ、従業員の内希望する人だけが加入する「選択制確定拠出年金(DC)制度」もありますのでご検討ください。
内容は当ホームぺージの「よくある質問」 2番~確定拠出年金制度のQ12番「選択制確定拠出年金(DC)制度とはどのような仕組みですか?」をご参照下さい。

 

Q22.現在の勤務先には確定拠出年金(DC)が導入されていないので、個人的にイデコ(iDeCo)に加入しています。 

   転職を考えていますが、転職した場合もイデコに加入し続けることができるでしょうか。(2019年12月)

A22.イデコに加入し続けることができるかどうかは、転職先にDCが導入されているかどうかにより大きく異なります。
1.転職先にDCが導入されていない場合
 引き続きイデコに加入し続けることができます。ただし、拠出限度額が、勤務先に確定給付企業年金等が導入されている場合(年額14.4万円)と導入されていない場合(年額27.6万円)で異なりますので、注意が必要です。

2.転職先にDCが導入されている場合
  この場合は2つのケースがあります。
(1)転職先のDCがイデコへの加入を認めていない場合
イデコを解約して、資産を転職先のDCに移換します。マッチング拠出が可能であれば、会社掛金に上乗せして、個人で追加拠出することもできます。
(2)転職先のDCがイデコへの加入を認めている場合
  イデコに継続加入ができます。ただし、拠出限度額が変わる場合(確定給付企業年金等がある場合は年額14.4万円、ない場合は年額24万円)がありますので、注意が必要です。
  この場合でも、イデコを解約して資産を転職先のDCに移換することもできますが、マッチング拠出制度はありませんので、個人で追加拠出はできなくなります。

 

Q23. 確定拠出企業年金(DC)の加入者の要件はどのようになっているのでしょうか。(2020年4月)

A23.(1) DCでは、原則として、DCを実施する事業所の 60 歳未満の厚生年金保険の被保険者(公務員等を除く、私立学校の教職員を含む)が加入者となります。
例外として、規約に 60 歳以上 65 歳以下の一定の年齢に達したときにDC加入者の資格を喪失することがDC規約に定められている場合には当該年齢に達するまでDC加入者となることができます。
60 歳到達後もDC加入者となるためには、「60歳になる前から同じ事業所に継続勤務していること」が必要です。
なお、加入できる上限年齢については高齢者雇用政策の流れにリンクして70歳まで加入できるように法改正を行うことが現在予定されています。
    (2)なお、DC規約で加入者となることについて一定の資格を設けた場合には厚生年金被保険者である従業員の加入者の範囲をあらかじめ限定することもできます。
ただし、どのような資格でも自由に決められるというわけではなく、「特定の者について不当に差別的でないこと」が必要で、

具体的には、①一定の職種、②一定の勤続期間、③一定の年齢、④希望する者以外 等の条件が認められています。

 

Q24. 2020年の通常国会にて成立した年金制度改正法によって、確定拠出年金制度はどう変わるのでしょうか。(2020年6月)
A24.
(1)中小事業主掛金納付制度 (iDeCo+) と簡易企業型年金 (簡易型DC) について、実施可能な企業の範囲が「従業員数 100 人以下」から「300 人以下」に拡大されます。しかしながら、ほとんど効果はないものと思われます。(参照:2019年4月 A14)
(2)脱退一時金の受給要件のうち、通算拠出期間について「3 年以下」から「政令で定める期間内」 (おそらく5 年以下) に拡大されます。
(3)受給開始時期の上限年齢が 70 歳から 75 歳に引き上げられます。
(4) 企業型DCの加入要件について、65 歳未満の年齢要件及び 60 歳以上の同一企業要件を撤廃し、厚生年金被保険者であれば加入可能となります (規約の定めにより加入できる年齢は最長 70 歳未満となります) 。
(5)個人型DC (iDeCo) の加入要件について、60 歳未満の年齢要件を撤廃し、国民年金の被保険者であれば加入可能となります (第 2 号被保険者が加入できる年齢は 65 歳未満となります) 。
(6)60 歳時点で加入期間がない場合でも、加入してから 5 年経過した時点で老齢給付金を請求できます (すなわち、60 歳以降も新規加入できるということになります) 。
(7)脱退一時金の受給要件のうち、「保険料免除者であること」を「iDeCoに加入できないこと」等に改めます (すなわち、短期滞在の外国人が帰国する際に脱退一時金の請求が可能となります) 。
(8) 企業型DCの加入者も規約の定めにかかわらず iDeCo に加入可能となります (ただし iDeCo に加入する場合は企業型へのマッチング拠出はできません)。
(9)レコードキーパーは、企業型DCの加入者がWebサイト等でiDeCoの拠出可能額を把握できるようにしなければなりません(すなわち、企業型DC加入者のiDeCoへの加入が容易になります)。

 

Q25,確定拠出年金(DC)の加入可能年齢が見直されたと聞きましたが、具体的にどう見直されたのですか。(2020年10月)

 

A25.2020年6月5日に「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」が公布され、以下の通りに改正されました。
 1.企業型DC
   改正前:65歳未満の厚生年金被保険者(60歳以降は60歳前と同一の事業所で継続して使用される者に限る)
   改正後:70歳未満の厚生年金被保険者
    厚生年金保険及び確定給付企業年金(DB)との整合性を図るため、70歳未満の厚生年金被保険者であれば加入可能とするもの
  2.iDeCo
   改正前:60歳未満の国民年金(厚生年金)被保険者
   改正後:65歳未満の国民年金(厚生年金)被保険者
       会社員・公務員等の第2号加入者または国民年金の任意加入被保険者である第4号加入者であれば加入可能とするもの
  3.施行期日
   1、2のいずれも2022年5月

 

26. 運営管理機関の評価をしなければいけないようなのですが、どのようにすればよいのでしょうか。(2021年4月)

 

A26. 確定拠出年金法等の一部を改正する法律の一部が2018年5月1日から施行され、企業型年金を実施する事業主は、運営管理業務を運営管理機関に委託する場合は、少なくとも5年ごとに、運営管理機関が実施している運営管理業務について評価を行い、委託内容について検討を加え、必要に応じて、委託内容の変更や運営管理機関の変更などを行うよう努める必要があります。
事業主は、委託している運営管理業務や投資教育が適切に実施されているか、定期的な評価に努め、運営管理機関との対話を通じて改善していくことが必要になります。
しかしながら、実際に運営管理機関の評価にあたっては、厚生労働省のガイドラインに沿って行うとしても、専門知識のない社内の人材が行えば、形式的な評価結果にならざるを得ず、運営管理業務の改善につながることにはなりません。
運営管理業務のみならず、運用商品の評価ができる専門的知識を有する中立的なコンサルタントに委託することにより、運営管理業務の改善につながり、確定拠出型年金制度の充実にもなります。

 

27. iDeCo掛金の給与天引きの取扱いをしていますが、この度、従業員から「掛金を年単位で給与天引きしてほしい。」との申し出がありました。どの様な点に注意すればいいでしょうか?(2021年10月)

 

 

A27. (1)年単位拠出とは

iDeCoは2017年まで月単位で拠出限度額がきめられていましたが、掛金の拠出を1年の単位で考え、加入者が年1回以上、任意に決めた月にまとめて拠出(年単位拠出)でき、ボーナス月のみ拠出したい等のニーズを踏まえて2018年1月に導入された拠出方法です。

(2)考えられる問題点

下記3点が大きな問題点となります。

①天引きの額や時期が定時定額ではないため、貴社の給与事務等の関係で給与天引きの対応(事業主払込)ができない場合が考えられます。

②掛金の納付は毎月定額と限らず、また毎月拠出があるとは限りませんので事務手続きが煩雑になる可能性があります。

③従業員の方が届け出た掛け金額が給与支給額を上回る額の場合には掛金を調整する必要があります。

以上の問題点が貴社の給与事務でご対応が難しい場合には、掛金の納付方法を個人払込にしていただくことで、年単位拠出が可能となりますのでご希望される従業員へ説明が必要です。

(3)年払い拠出に対応される場合には実務上、下記の点に注意が必要です。

①必要な手続き

加入者が事前に拠出の年間計画(「当年の掛金額」および「翌年以降の掛金額」)を設定し必要書類を提出します。

②拠出期間の考え方

 ◇年間計画12月分の掛金から翌年の11月分までの掛金(実際の納付月は1月~12月)の拠出期間を1年とし、この1年を単位として考えます。

 ◇この1年(12か月)を加入者の方が任意に区分して、年間の拠出月(年1回以上の拠出が必要)を決めていただきます。

※この任意に区分した期間を「拠出区分」と言います。

③掛金限度額について

◇「拠出区分」の月数に1か月あたりの限度額を乗じた額が、拠出期間の拠出限度額となります。

 ◇「拠出区分」の掛金額が限度額より少ない場合は、年間計画の範囲内で次回以降の「拠出区分」の上限額にプラスして拠出が可能です。トータルで年間の上限金額超にならないように拠出額の設定が可能です。

④掛金額について

拠出区分の掛け金額は「5,000円×拠出区分の月数」の金額以上、拠出限度額以下で1,000円単位となります。

⑤納付日 

「拠出区分」の最後の月の翌月26日が納付日となります。

⑥掛金額及び拠出区分の変更

②でご説明した1年の単位の中で、1回のみ掛金額及び拠出区分の変更が可能です。

 年単位拠出は以上のほか、細かい注意点がありますので社内の体制を確認し、対応を検討する事が肝要です。

 

 

Q28.2022年5月1日施行の企業型DCの脱退一時金の受給要件について教えてください。(2021年12月)

 

A28. 現在、企業型DCの中途引き出し(脱退一時金の受給)が例外的に認められていたのは、個人別管理資産の額が1.5万円以下である方に限られています。

個人別管理資産の額が1.5万円を超える方は、他の企業型DCやiDeCoなどに資産を移換する必要がありますが、iDeCoに資産を移換した場合、iDeCoの脱退一時金の受給要件を満たしている方であれば、iDeCoの脱退一時金の受給が可能ですが、iDeCoの中途引き出し(=脱退一時金の受給)が例外的に認められているのは、国民年金の保険料免除者である方に限られています。このため、外国籍人材が帰国する際には国民年金制度から外れるため、保険料免除者に該当することなく脱退一時金を受給できない状況です。

 

22年5月の改正で国民年金の保険料免除者であることの要件が削除され、60歳未満であること、企業型DC加入者でないこと、iDeCoに加入できないこと等の一定の要件を全てに該当した場合、脱退一時金の受給が可能になります。

 

【改正後の企業型DCの脱退一時金の受給要件】

○個人別管理資産額が1.5万円以下である場合(2022年4月以前と変更なし)

(1) 企業型DC加入者、企業型DC運用指図者、iDeCo加入者及びiDeCo運用指図者でないこと

(2) 個人別管理資産の額が1.5万円以下であること

(3) 最後に企業型DCの資格を喪失した日の翌月から6ヶ月を経過していないこと

※ 上記(1)〜(3)のいずれにも該当する必要があります。

 

○個人別管理資産額が1.5万円を超える場合(2022年5月から追加される要件)

(1) 企業型DC加入者、企業型DC運用指図者、iDeCo加入者及びiDeCo運用指図者でないこと

(2) 最後に企業型DCの資格を喪失日の翌月から6ヶ月を経過していないこと

(3) 60歳未満であること

(4) 企業型DCの加入者でないこと

(5) iDeCoに加入できない者であること

(6) 日本国籍を有する海外移住者(20歳以上60歳未満)でないこと

(7) 障害給付金の受給権者でないこと

(8) 企業型DCの加入者及びiDeCoの加入者として掛金を拠出した期間が5年以内である

こと又は個人別管理資産の額が25万円以下であること

※ 上記(1)〜(8)のいずれにも該当する必要があります。

 

 

技能実習生を含め外国籍人材が帰国する際には、2022年5月以降企業型DCの脱退一時金を受給できる可能性が高まります。外国籍人材がいる企業の方は、詳細を確認しておくと良いでしょう。

 

29. 運営管理機関の評価を来期の活動計画に盛り込まなければいけないのですが、その費用対効果を経営陣にどのように説明すればよいのでしょうか。

 

A29: 確定拠出年金法等の一部を改正する法律の一部が2018年5月1日から施行され、企業型年金を実施する事業主は、運営管理業務を運営管理機関に委託する場合は、少なくとも5年ごとに、運営管理機関が実施している運営管理業務について評価を行い、委託内容について検討を加え、必要に応じて、委託内容の変更や運営管理機関の変更などを行うよう努める必要があります。

したがって、2023年4月までには運営管理機関の評価を行わなければならず、2022年度の活動計画に盛り込むのは法令遵守の観点からも適切なことです。

 

運営管理機関はすべての事業主に対して一律なサービスを提供しているわけではありません。100人の加入者の事業主と10000人の加入者の事業主に対して同等のサービスをしていないことは、誰にでも想像できることでしょう。

しかし、企業年金相談センターが運営管理機関の評価を行った事業主に対しては加入者数にかかわらず、以下のサービス向上が見られました。

・制度の運営状況の情報提供が行われるようになった

・採用運用商品(投資信託)のコストが下がった

・安易な運用商品の追加提案がなくなった

・担当者が変わり関係が良くなった

・全加入者向けにパスワードの再送をしてくれた

 

また、企業年金相談センターが運営管理機関の評価を行った事業主側でも、以下の意識の変化が見られました。

・運営管理機関は加入者の利益よりも自己の利益重視

・実は大した専門知識を持ち合わせていない

・事業主の加入者数に応じてサービス内容が違う

・運営管理機関が採用しているすべての運用商品を実質的見ることができない

 

費用に関しては、企業年金相談センターでは加入者数にかかわらず、一律20万円(税抜き)で行っております。

これは、加入者数にかかわらず確定拠出年金制度の運営管理機関の評価業務は一定であるからです。

 

 

運営管理業務のみならず、運用商品の評価ができる専門的知識を有する中立的なコンサルタントが在籍している企業年金相談センターに運営管理機関の評価業務を委託することより、運営管理業務の改善につながり、確定拠出型年金制度の充実にもなります。

 

Q302022年の育児介護休業法改正関連で男性の取得促進等が話題となっている育児休業の関連です。育児休業中の企業型DC掛金の扱いはどうなるでしょうか。また、従業員が産前産後休暇(産休)の場合は、その該当期間中はDC掛金を中断する事は可能 ですか。

 

A30: 育児介護休業法に基づく育児休業期間中はDC掛金の拠出が停止できる旨、あらかじめ企業年金規約に定め、厚生局の承認を得ている場合には、企業型DC掛金を停止することができます。

   一般的に「中断できる期間は休職・休業期間中(会社都合以外の事由の場合に限る)の うち無給の期間」という条件になります。 

   また、産前産後の休暇期間中は企業型DCの事業主掛金の拠出中断は出来ません。労基法で定める産前産後休暇は、母性保護の観点から使用者に措置が義務付けられている休暇です。そのため会社都合以外の事由による休業とならず(自己都合による事由とはならない)、DC掛金の中断は認められません。

 

31. 当社は企業型確定拠出年金(企業型DC)を実施しています。2022年10月以降、個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入要件が緩和され、事前の規約変更等を経ることなく、従業員がiDeCoに加入しやすくなることは理解していますが、今後、会社として対応すべき業務が発生しますか。

 

 

A31: iDeCoは従業員自身が金融機関を選択し、個別に契約を行いますので、事業主は基本的に直接対応する業務はありません。しかし、従業員がiDeCo加入申込時、加入後において、事業主による証明等、一定の業務が発生します。主な業務は以下のとおりです。

 

(1) 加入申込時 

「 事業所登録申請書 兼 第2号加入者に係る事業主の証明書(K-101)」

証明書の様式は、加入希望者が運営管理機関から直接取寄せ必要事項(氏名、基礎年金番号等)等を記載され提出されます。事業主は、所定の欄に事業主名称・所在地や登録事業所番号等の必要事項を記入のうえ加入希望者へ返却します。

 

この証明書は、加入希望者が希望する掛金額が限度額を超えていないか確認するために必要となります。また、従業員は掛金の納付方法(事業主払込、個人払込)を選択できますが、従業員が事業主払込を選択した場合、事業主は、毎月給与口座から掛金を引き落とし、源泉徴収を行うことになります。

 

(2) 加入後

・ 「現況届」の提出(年1回)

届出書の様式は、記録管理運営機関から送付されます。

iDeCo加入者(第2号加入者)は、企業の従業員としてiDeCo加入できる資格や限度額に変動がなかったかどうか、各事業所における確定給付企業年金等の実施状況や第2号加入者の当該企業年金制度の加入資格の有無について、加入者を使用する事業主が証明します。

 

・  年末調整

iDeCo掛金は「小規模企業共済等掛金控除」の対象となりますので、年末調整が必要です。

① 事業主払込:1月~12月の給与引落とし(予定額) 

② 個人払込:小規模企業共済等掛金払込証明書(従業員より提出)

 

 

   Q32. 当社は企業型DCの掛金拠出を年単位としています。その場合iDeCo加入者への影響は何かありますでしょうか、また事業主として対処することは何かありますでしょうか?

 

A32. 2022年10月1日以降に企業型DCの掛金拠出を年単位化(複数月分の掛金をまとめて納付すること)する場合は、当該企業型DC加入者はiDeCoに加入できなくなります。これは企業型DCの掛金の拠出を年単位化した場合、iDeCoで調整する各月の拠出限度額を管理できなくなるためです。

 

    企業型DC加入者かつiDeCo加入者の場合、企業型DC掛金額が月3.5万円を超えると、当該超過分をiDeCoの各月の拠出限度額である2万円から拠出額を引き下げる必要があります。また、事業主は、掛金の拠出を年単位化する旨を規約に規定するとともに、企業型記録関連運営管理機関(企業型RK)に通知する必要があります。上記の拠出限度額の管理方法としては、企業年金プラットフォーム(企業年金連合会が運営)という仕組みが構築され、企業型RKを通じて、企業年金プラットフォームに情報(基礎年金番号、生年月日、性別)を登録し、国民年金基金連合会(国基連)がiDeCo加入者情報の照会を行い、拠出限度額が5.5万円を超えていないか確認し、超えている場合には拠出額を引き下げます。

 

    企業型DCの掛金拠出を月単位に変更すれば、iDeCo加入が可能になります。企業型DC加入者のiDeCo加入の要件緩和の趣旨にもとづき、掛金拠出を年単位から月単位へ変更してください。

 

Q33. 企業型確定拠出年金(DC)加入者も個人型DC(iDeCo、イデコ)併用が可能になったと聞きました。この場合どのようなメリットがありますか。      (2023年2月)

 

A33. 2022年10月の制度改正で、企業型DCに加入する人もイデコを使いやすくなりました。ただ、全ての人に併用のメリットがあるとは限りません。

企業型DCのみに加入している場合、掛け金の上限はイデコと併せて月5万5000円です。また、イデコの上限は月2万円と決まっています。もし会社がDCの掛け金を月5万円拠出しているなら、イデコに掛けられるのは月5000円。一方、会社拠出の掛け金が月8000円の人なら、イデコに上限の2万円まで拠出できます。

イデコには口座管理手数料が年2000円以上かかるため、掛け金が少額だと手数料に加えて2つのDC口座を管理する負担もあり、併用するメリットは小さくなります。

一方、企業型DCのうち、会社の掛け金以下の金額を自ら上乗せできるマッチング拠出がある会社では、マッチングかイデコか選択できます。会社掛け金が月8000円の場合、マッチング拠出を選ぶと月の合計は1万6000円(会社掛金8000円+自己掛金8000円)ですが、イデコを選べば2万円拠出できるため、月2万8000円(会社掛金8000円+自己掛金20000円)を運用できます。会社掛け金が少額の人はイデコが有力な選択肢になります。

また、所得税率が高い人ほど併用による税優遇が大きくなりますので、会社の制度や掛け金を確認し、自分に合った選択をすることが重要となります。

 

 

Q34. 最近、確定拠出年金残高(企業型・個人型)を確認していて気がついたのですが、資産管理機関がたまたま同じ信託銀行で1000万円を超えています。預金のように預金保険機構が預金(元本1000万円と利息)を保護してくれるような制度が投資信託にもあるのでしょうか? (2023年4月) 

 

A34. 投資信託には、預金保険機構が預金を限度額まで保護する制度に類する制度はありませんが、信託法上の分別管理義務(信託法第34条)を通じて信託財産が保全される仕組みが用意されています。

預金は、預入金融機関が万一破綻した場合に、当該金融機関の信用リスクを預金者が被るおそれがあることから、これを回避するために預金保険制度が設けられました。一方、投資信託は、資産管理機関である信託銀行(信託財産の受託者)は、信託財産に属する財産と受託者の固有財産や他の信託財産に属する財産とを分別管理する義務(信託法第34条)がありますので、そもそも信託銀行の信用リスクを被るおそれはありません。従って、信託銀行が万一破綻しても、投資信託の信託財産が銀行の負債の弁済に充てられたり、差押えられたりすることはありません。

以上のとおり、信託財産は制度上保全されますが、当然のことながら購入時の資産価値まで保全されるものではありません。万一、信託銀行が破綻し受託者としての役割を果たせなくなった場合、①破綻時の基準価額で解約される ②他の信託銀行に信託財産が移管される等の方法で信託財産は保全されます。また、破綻した投資信託会社が運用していた投資信託は、償還期日前であっても繰上償還措置等がとられることになります。

 

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