企業年金の現場から R1.9

「老後不安に効く薬」

老後不安を解決する妙薬はあるのでしょうか?
 老後不安に対処する方法として、次の三つをあげました。
 ・より長く働く
 ・お金にも働いてもらう
 ・時間を味方にする
◆より長く働く
 60歳定年だとしても、65歳まで働ける環境は整ってきていますので、あと5年70歳まで働くことを考えましょう。これはかなり効果があります。既に書いた通りです。
◆お金にも働いてもらう
 確定拠出年金の投資教育をしていると、元本確保型商品のみで運用している人がかなりいらっしゃいます。投資信託を含めて運用している人とどのくらいの差が出るか、簡単に計算してみましょう。
①40歳から60歳までの20年間、毎年24万円積立て、元本確保型商品だけで運用した場合。
運用利回りを仮に0.1%とすると60歳時点の積立残高はおよそ485万円となります。
②同じ条件で、運用商品に投資信託を含めて運用した場合。
運用利回りを仮に3%(企業年金連合会2019年2月4日公表:2017年度決算確定拠出年金実態調査結果によると、加入者の通算運用利回り平均は2.8%)とすると60歳時点の積立残高はおよそ645万円となります。
①の485万円と②の645万円の差額160万円は、運用利回りの差額分となります。
少し勉強して、お金にも働いてもらう事が、いかに大事かお分かり頂けると思います。
◆時間を味方にする
③年間の積立額24万円、運用利回り3%は同じだが、積立を20歳から開始し
60歳まで40年間とした場合。
 60歳時点の積立残高はおよそ 1,810万円 となります。
積立期間が長いから、たくさん積立てられるのは当たり前と思われるかもしれませんが、②の積立残高645万円のうち積立てた元本は480万円ですから、得られた収益は差額の165万円となります。
 一方③の場合の得られた収益は、積立期間が②の2倍となりますので、②の収益165万円の倍額330万円となるでしょうか?積立残高1,810万円のうち積立てた元本は960万円ですから、得られた収益は差額の850万円となります。
実に②の収益の5倍以上の金額となります。これが複利効果を生かし、時間を味方につけた結果です。積立開始は1ヶ月でも早い方が良い事になります。
◆積立は非課税を利用する
 積立をする場合は、非課税となる仕組みを活用しましょう。選択制確定拠出年金・確定拠出年金のマッチング拠出やiDeCoは運用益が非課税で、さらに所得控除が使えますのでお薦めです。つみたてNISAであれば、所得控除は
使えませんが、運用益が非課税となります。

文責 葉山 俊夫

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