企業年金の現場から H29.10

企業型確定拠出年金(DC)の運営管理機関の見直し(その1)

 

 前回は、平成28年5月24日に成立し6月3日に公布された「確定拠出年金法等の一部を改正する法律(DC改正法)」に運営管理機関の評価・検討の努力義務化が含まれていることをお話ししました。
 今回は、実際に運営管理機関の見直しに取り組んだ、甲社の事例についてご紹介します。

□運営管理機関の見直し-甲社の事例
 甲社は、東京都下に本社を構える、従業員約300人の機械メーカーです。
 ご多分に漏れず、適格退職年金の受け皿の検討は、他の案件の後回しになってさっぱり進まず、時間切れの危機に直面していました。その時に、メインバンクであるA銀行から確定拠出年金(DC)の提案を受け、ほとんどA銀行に任せきりで導入し、その後の見直しなどは考えたこともありませんでした。
 しかし、別途加入している、業界団体で構成する厚生年金基金が解散する事になったのをきっかけに、私どものセミナーを受講され、知識を深めるに従い、再検討の必要性に気付かれました。
 そこで、私どもに同社の確定拠出年金(DC)制度の現状診断を依頼されたのです。

□確定拠出年金(DC)制度の現状診断の結果
 現状診断を行った結果、下記の状況が判明しました。

 ①人数や規模に比して、会社が支払っている事務費(運営管理費用、資産管理費用)が高額である。
 ②従業員が負担する信託報酬が高い、アクティブ型と呼ばれる投資信託が、半数近くを占めている。
 ③アクティブ型の品揃えが、国内株式で運用するものに偏っており、過去の運用実績も芳しくない。
 ④一般に信託報酬が低いパッシブ型の商品も揃えてあるが、他社と比べて信託報酬が高い商品が多い。

 A銀行に言われるがままに導入した結果、改善の余地が大きいことが分かり、甲社では運営管理機関の見直しに着手する事になりました。
そこで、私どもでは、複数の金融機関の提案内容を比較する為に、コンペを実施する事をご提案しました。

そのコンペの内容と結果については、次号でご紹介したいと思います。

(田中 均)

 

(田中 均)

 

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