企業年金の現場から R3.9

高齢者就業確保措置

 

70歳までの就業機会確保のため、高齢者就業確保措置が令和3年4月1日に施行されました。これにより企業に対して70歳までの努力義務として以下の5つが設けられました。

1.70歳までの定年引上げ

2. 70歳までの継続雇用制度の導入

3. 定年廃止

4. 70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入

5. 70歳まで継続的に社会貢献事業に従事できる制度の導入

*4、5は高齢者が希望するとき

 

65歳までの就業機会確保の以下の3つの義務に加えて、努力義務として施行されたものです。

1.65歳までの定年引上げ

2. 65歳までの継続雇用制度

3. 定年廃止

 

 「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」では、高年齢者が年齢に関わりなく働き続けることができる生涯現役社会の実現を目的に、企業に「定年制の廃止」や「定年の引上げ」、「継続雇用制度の導入」のいずれかの措置(高年齢者雇用確保措置)を講じるよう義務付け、毎年6月1日現在の高年齢者の雇用状況の報告を求めています。

 令和2年6月1日現在の集計結果は、この雇用状況を報告した従業員31人以上の企業164,151社の状況をまとめています。

 65歳までの雇用確保措置のある企業は、99.9%あり、ほぼ就業機会が確保されていることが確認できました。平成25年に高齢者雇用確保措置が施行された年の報告では92.3%でしたので7.6%向上したことがわかります。また、65歳以上定年企業は20.9%、定年廃止は2.7%で残りの約77%の企業は定年が65歳未満となっております。多くの企業が継続雇用制度により65歳までの雇用確保措置をしております。

一方、66歳以上働ける制度のある企業は33.4%にとどまっています。努力義務ではあるものの大きな乖離があります。これから約3分の2の企業は努力義務として70歳まで就業機会確保の検討をしなければなりません。

仮に60歳が定年とする企業が70歳までの継続雇用制度の導入をすると10年間も雇用延長となります。約8割の企業が65歳未満定年にて、これらのなかには65歳以上まで定年を延ばすことを検討する企業があると思います。

しかしながら、単純に定年を延ばすだけにとどまらず、仮に60歳から65歳以上に定年を延長した場合には、退職給付制度の再構築も必要となります。

再構築の内容としては、

1. 支給時期をどうするのか

① 旧定年で支給する

② 新定年で支給する

2. 旧定年後の就労期間の退職金額をどうするのか

① 旧定年で確定する

② 延長期間も積み上げる

私ども企業年金相談センターでは、定年延長を含めた退職金制度の見直しについてもお手伝いをさせていただいております。お気軽にご相談ください。

                                                          文責:田邊勝彦

 

「企業年金の現場から」に戻る