企業年金の現場から R3.1

2021年 年金法改正で事業主は何をすべきか

2020年年金法改正の概要

年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律が成立しました(2020年6月5日公布)。

その概要は下記の4点です。

① 被用者保険の適用拡大

② 在職中の年金受給の在り方の見直し

③ 受給開始時期の選択肢の拡大

④ 確定拠出年金(DC)の加入要件の見直し

 

確定拠出年金の加入要件の見直し

今回の法改正でのDC加入要件の見直しは、下記4点です。

① 企業型DCの加入可能年齢(70歳)の拡大

② iDeCoの加入可能年齢(65歳)の拡大

③ 企業型DC加入者のiDeCoへの加入が容易に

④ 受給開始時期の延長(75歳)

コロナ禍で事業主にとっては、DCの加入要件の見直しへの対応は経営課題の優先順位としては低いように思われておりますが、見逃してはならないポイントが上記③です。

簡単にご説明すると、2022年10月より企業型DC加入者は、規約の定めや事業主掛金の引下げがなくても、個人型DC(iDeCo)に加入することができるようになったということです。

 

想定されるDC加入者の行動

企業型DC加入者の若年層は、事業主掛金が数千円とセカンドライフへの準備としては不十分と考え、DC制度の税制優遇を理解しているために、積極的

にiDeCoに加入することが想定されます。そのために、自社で適用されている商品ラインアップと、iDeCoの他の運営管理機関の商品ラインアップを比較検討するようになることも想定されます。

 

事業主のなすべき行動

事業主は自社の企業型DCの商品ラインアップが、加入者ニーズに照らし合わせて十分であるか今一度確認する必要があります。さらに、その商品ライン

アップが加入者にとって最適なものであることの説明義務があります。

 

このような加入者の行動とそれに対応する事業主の責務を考えるにあたっては、法改正を多面的かつ専門的に分析することができるコンサルタントと協働し、企業型DCの商品ラインアップを精査することによって、より良いDC制度を運営することにつながります。

以上

                                        文責:加藤 啓之

 

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