企業年金の現場から H28.01

「厚生年金基金解散分配金の仮交付」を受けるためのスケジューリング

 

 多くの厚生年金基金で解散方針が打ち出され、各基金の説明書には、解散までのスケジュールが示されています。 そうしたスケジュールで、時として欠けているのが分配金の「仮交付」です。これは解散の最終手続きまでの長い期間を待たず、企業の代替制度に早期に分配金を交付してもらい、代替制度を効率よく運営することができる制度です。

 以下、分配金をタイミングよく新制度に移行するための留意点を述べてみましょう。

 

①解散による分配金の新制度への交付(仮交付)・移換をスムーズに行うために事業主はその受け皿である新制度を作らなければなりませんが、その前に、事業主は交付(仮交付)・移換を受ける事業所として基金規約に盛り込んでもらうことを基金に申し出ることになります。基金からは事前に事業主宛に申出の照会通知がありますから、これを見逃さないことです。基金は解散しても残余財産が確定するまでは分配金を交付・移換しないが、確定給付企業年金については分配金の範囲内で早期に交付を受けることができる仮交付の取扱いがあります。自社の新制度ではこのタイミングで仮交付を受ければそれだけ早く資産を運用するメリットがあります。この申し出のタイミングは基金解散のための規約変更を審議する代議員会前となります。

 

②自社の新制度は基金(清算人)が財産目録を厚労省に申請する日までに完成していなければなりませんが、財産目録の申請には基金解散から1~2年かかります。ですから新制度として確定給付企業年金を立ち上げる場合は、目録申請を待たないで、早く仮交付の取扱いを受けるのが望ましいのです。ただ、新制度を立ち上げるにも相当の準備期間が必要です。少なくとも基金の方針が代議員会で議決されたときは直ちに事業主は新制度の構築に向けて動き出すべきでしょう。

 

 年が明けて特例措置の期限もあと3年余と迫っています。事業主は基金からの情報を受け止め、基金解散対策を急がなければなりません。

 

近藤嘉正

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